魔物との遭遇


 「あ、どうもこんにちは」

 「おぅどうも、ってオイ」

 「? 何でしょう」

 「何でしょうってお前・・・・人間だよな?」

 「それ以外に何があるってんです失礼な」

 「や、ワリィ――ってだから違ぇよアホ!もっとビビれよ人間!
  なに普通にスルーしてんだよ!?」

 「そっちこそなに初対面の人間に逆切れしてるんですか?育ちが知れますよ?」

 「魔物に育ちもクソもあるかボケ!むしろお前のほうが失礼だわ!!もっと常識的な反応見せろや!!」

 「はあ、すみません」

 「イヤそこで素直に謝られてもッ!
  ・・・・・。
  ・・・なんなのお前、マジで人間? なんで怯えねえの? オレ魔物よ?」

 「そんな馬鹿みたいに質問しないでください。
  貴方が魔物だなんて見れば判りますよ、獣耳に尻尾ついてる人間なんぞがいてたまりますか。
  まあ、貴方が特殊な嗜好の人間だというなら話は別ですが。それ、天然モノですよね?」

 「なぁ、お前ワザとだろ?ワザと言ってんだろそれ?」

 「ふふふ、魔物が人間に惑わされるなんて、世も末ですねえ」

 「うん、お前人間じゃねえよ、立派に魔性だよ・・・」

 「貴方本当に失礼ですねえ、この国の王子に対し、言うに事欠いて魔性とは・・・・」

 「?!!」

 「・・・何ですか?何か言いたげですね」

 「・・・・・・や、もうツッコみ所が多すぎて言うに言えねえ。
 
 ―――も、俺帰るわ。何で王子様なんぞが魔の森に来たのかは知んねーが、
  見逃してやっから、さっさと城に帰んな・・・・」

 「どうして貴方が疲れてるんです。
  それに私、国を出奔してきた身なんで、帰る所なんてないんですよね。
  というわけで、さ、参りましょうか」

 「ってなに普通に乗っちゃってんのお前?!!」

 「え、だって乗れといわんばかりに獣型になったのは貴方じゃないですか。
  わあ、すごい綺麗な毛艶。 私、黒って一番好きな色なんですよね。
   それに私が乗ってもビクともしないんですねえ。流石」

 「まぁそれなりに・・・・・、・・・・・・・だから、」

 「そういえば自己紹介がまだでしたね。私の名はシャートです。貴方は?」

 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・アルファルド、だ」

 「そうですか。では、これからよろしくお願いします、アルファルド」

 「・・・・・・・・おー・・・・・・・・」