水が垂れゆくおとがする



いつものように王子様が3時のお茶を用意していると、
魔狼がじっとカップをみつめているのに気がつきました。

「何をそんな熱いまなざしをカップにそそいでるんです。気持ち悪い」

「そんなんじゃねぇよアホ! ただこの色が、」

今日は魔狼お気に入りのお茶です。王子様が魔狼のカップをのぞいてみても、
いつもと変わらずきれいな透き通る水色をしています。

「一体コレがどうしたっていうんです?」

王子様が不思議そうに首をかしげると、日に透ける王子様の髪がさらさらと滑り落ちました。
カップから目をはなした魔狼は、その様子をじっとみつめてつぶやきました。

「やっぱりお前の髪とそっくりだな」

黙りこくった王子様は、そのままお茶を飲み始めた魔狼をながめて、

「――ああ、だから貴方、このお茶が好きなんですねえ」

そう言うと、咳き込む魔狼をしりめに、こくりとお茶を飲みほしました。